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小さな島の大きな地図:フェロー諸島の調査

フェロー諸島の地元当局は土地利用状況の調査と海岸線のマッピングにあたり、ドローンを使用することで、変わりやすい悪天候を克服しました。

世界人口が78億人に達し、 その55%が都市部に居住する中で、主に農村部で暮らしていた人々が都市へと移住する変化が全世界で急速に進みつつあります。 これは世界的な潮流であり、中国のような超大国に限らず、フェロー諸島のような小さな島国でも同じことが起きています。

大西洋の北西部に位置するフェロー諸島には18の島々がありますが、そこに暮らす住民はわずか52,967人で、羊の方が多いほどです。 都市化されたエリアは120か所あり、島々の各地に分散しています。 都市開発地域をマッピングし調査することは、国土全体の土地利用状況を記録するために重要な作業です。同時に、島国に多い近隣の海岸線の変化を記録することも重要です。

Rural houses in fields with snow on the hills behind
フェロー諸島の自然は美しいが、人々は分散して居住している

フェロー諸島環境保護局(Umhvørvisstovan)は、フェロー諸島全土のマッピングと都市化状況の調査を担っており、海岸線のマッピングも実施しています。 作成された地図は土地利用計画の策定に加え、土地登記にも利用されます。 しかし、大西洋のただ中に位置するこの島国では空撮マッピングが難しく、ほとんど行われていません。環境保護局では、2017年から117,130枚の画像を撮影してきました。年あたり約3万枚というペースです。 わずか6人の職員が、環境保護局のすべての業務を担っています。 3人が陸上の調査とマッピングをこなし、3人が船舶用海図の作業にあたっています。

2015年、環境保護局は航空機の代わりにドローンを導入することを決定しました。環境保護局ではマッピング用ドローンの使用を開始するにあたって、ドローンによるフォトグラメトリーのメリットを調査しました。 ドローンを用いた場合の魅力の1つは、航空機を利用したフォトグラメトリーと比較すると少ない労力で地図からオルソ画像を生成できることです。 大規模プロジェクトにも対応するドローンマッピングソフトウェアが必要だったことから、優れた処理能力を持つPix4Dmaticが選定されました。Pix4Dmaticは、フェロー諸島の正確なマップ作成の用途に最適と言えます。

プロジェクト詳細

場所フェロー諸島スヴイノイ島(デンマーク)
ユーザーフェロー諸島環境保護局
対象エリアの2.341平方キロメートル(578エーカー)
ソフトウェアPix4Dmatic
Esri ArcGIS
ハードウェアeBee X RTK
Aeria X camera
処理用ハードウェアIntel (R) Xeon CPU E5-1650 v4
合計撮影枚数1,997
処理時間10時間30分
GSD3.12 cm

ドローンマッピングが最適な選択肢である理由

スヴイノイ島は、人口わずか31人の小さな島です。 しかし地図の最終更新は2009年以来実施されておらず、現時点の状況を把握するには、時間が経ち過ぎていました。

このような離島を上空からマッピングするには、難しい課題がいくつもあります。 フェロー諸島は山々がつらなる地形で、強い風が吹き、天候は予測不能なことで知られています。 航空機は、地上を覆う雲の下に出る必要があります。このような起伏の激しい地形で雲の下を飛行するリスクを考えると、安全に飛行しながら空撮マッピングを行うことは非常に困難です。

Pix4Dmatic point cloud of buildings
Pix4Dmaticのアウトプットはクリアで精密

ドローンのメリットは既に明らかです。ドローンは航空機のように様々な事前手配の必要がなく、計画も簡単です。さらに、天候が回復した短い隙間時間で飛行させることができます。さらに、雲の下を飛ぶドローンには視界が遮られないというメリットがあり、激変しない継続的な曇天がもたらす日照は均一で、フォトグラメトリーによるデータ収集には理想的です。ただし固定翼ドローンの場合は、地形の起伏が激しいと離着陸に適した場所が見つけるのが困難なことがあります。

離島の土地利用調査

環境保護局のドローン調査では、データ収集ミッションを3回に分けて行い、合計1,997枚の画像を収集しました。飛行計画を綿密に立てたことにより、パイロットは 広大なエリアや複雑な現場 でも大幅に時間を節約することができました。幸運にも、その日は風も穏やかでした。幸いスヴイノイ島には平坦な場所があり、そこからeBee Xは安全に離着陸することができましたが、地形の形成による乱気流や困難もありました。

Pix4Dmatic interface of Svinoy island model
Pix4Dmaticでレンダリングされたスヴイノイ島の全景

データはPix4Dmaticで処理され、全データセットの処理は10時間余りで完了しました。その後、最終的な地図を編集し、以下のような重要な詳細情報を追加するため注釈しました:

  • 海岸線
  • 住宅(道路名と住所を含む)
  • 牧場と農耕地

この地図は、誰でもダウンロードできるオープンアクセスのリソース として提供されています(デンマーク語のみ)。 オープンマップは、誰もが地勢よりよく理解することができる便利なリソースです。

ドローン用いた調査のメリット

このように最新の記録を持つことへの推移は、政府にとって非常に価値のあることです。この地図は無料でダウンロードできるオープンリソースながら、小さな島であってもフェロー諸島の進歩や発展の様子を知ることができます。 様々な Pix4Dmaticのアウトプット 環境保護局がさらなるマッピングや開発計画に利用できることを意味しています。

「Pix4DmaticはPix4Dmapperよりもさらに操作が簡単で、処理速度も高速です。よって、プロジェクトで処理時間の短縮が重要な要素になっている場合は、Pix4Dmaticを使うことで、大規模なプロジェクトの納期を早めることができます」- 環境保護局ドローンパイロット、Andreas Arnbjerg氏

ドローンとフォトグラメトリーを利用することで、環境保護局はデータ収集のために飛行機を使用するコストを削減できるだけでなく、手間のかかるフライトの手配をする必要がないため、天候に応じてより柔軟に対応することができました。UAVによって、現場での作業時間が削減されます。Pix4Dmaticのレンダリング処理で得られる非常に高精細のアウトプットを、行政当局も住民も幅広い用途に活用することができるでしょう。


視野を広げてみましょう
これまでよりも大規模に高速にマッピング

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