HEA BLO AGR Makubetsu 2022

PIX4Dfieldsは農業支援サービスをどう変えるか

PIX4Dfieldsは、北海道幕別町の農家で、植生指標を作成と小麦畑の生育ムラを監視するために使用されています。

Pix4Dは、北海道深川市での土地の均平化プロジェクトと並行して、北海道幕別町の農家さんともPIX4Dfieldsを使ったプロジェクトを実施しています。

このプロジェクトでは、地元のノーザンイノベーション社の六日市さん・小森さんがドローン飛行とPIX4Dfieldsによる画像処理を行っています。その結果を見て農家さんへのアドバイスを行うのは、明京商事で30年以上も日本全国で栽培指導を行ってきた金峯さんです。今回は、このお二人に PIX4Dfieldsを使った農業支援についてインタビューをしました。

IMA BLO AGR Makubetsu 2022 1
PIX4Dfields would be used to plan optimal fertilizer application for this wheat field

プロジェクト詳細

場所幕別町中里、日本
ユーザーノーザンイノベーション株式会社
ソフトウエアPIX4Dfields
撮影面積5.12 ヘクタール
ハードウェアDJI Phantom 4 Multispectral
作物小麦

PIX4Dfieldsで生育のムラを可視化して栽培指導を効率化

最初はドローンの空撮画像で何ができるのか半信半疑だったという金峯さん。 実際に使ってみると、広い圃場の中の生育分布がかなりの精度でマッピングされていて驚いたとのこと。

「栽培アドバイザーをしていて悩ましいのは、限られた時間の中でお客様の圃場全体の状況を全て把握して生育状況を確認できないことです。従来は、一部の生育状態を確認して、そこから全体の状況を推察して栽培指導をしていました。しかし、PIX4Dfieldsを使うと広い圃場の生育分布がマップで示されるので、どこの作物を調べればよいのかが簡単に分かります。」

圃場では、マルチスペクトルセンサーのついたDJI Phantom 4 Multispectralを使ってデータ収集を行っていました。 マルチスペクトルセンサーとは、カメラがマルチスペクトルデータを拾って、人間の目には見えない光を拾うことができるということです。これを使って、植物が反射する特定の色の光を検出し、作物全体の健康状態を分析します。マルチスペクトルデータを色分けされた植物の健康マップに変換する 「植生指標」と呼ばれる方法のおかげで、この分析が可能になります。今回のプロジェクトでは、その中でもNDVIという指標に注目しました。

「今回のプロジェクトでは、圃場を生育状況に応じて色分けしました。育ちが悪いエリアほど青色に近く、育ちが良いところほど赤色に近くなります。実際に稲を確認すると、青色の部分とオレンジ色のところで稲の高さが約5cmも違いました。」と金峯さん。

PIX4Dfields map with blue color showing poor growth versus yellow for better growth
青色が成長が遅く、赤色に近くなるほど成長が早い。

農業における肥料散布のガイドとして、マルチスペクトル画像はどのように利用できるのか?

「さらに、今回のプロジェクトでは、小麦の茎の数と表示されるNDVI値の関連も見られました。圃場を成長の度合いに合わせて3つのエリアに分割して分析をしたところ、NDVI値が高いエリアほど、茎数が多いことが分かりました。茎の密度が低いと生産量が減ってしまいますが、密度が高すぎても重さで小麦が倒れてしまうことがあります。そのため、PIX4Dfieldsを使うことで茎の密度に応じた栽培指導がしやすくなりそうです。」

PIX4Dfields interface with field boundaries dividing sections of a field growing better
圃場は生育の度合いによって分類されました。このデータセットは、2022年4月に収集されました。

圃場全体を生育状況に合わせて3エリアに分割し、施肥を行ったという。 左からエリア1、2、3。

平均NDVI値
茎数 (茎の密度)
対応
エリア 1
0.49
530本/m2
肥料を増やす
エリア 2
0.57
666本/m2
肥料を増やす
エリア 3
0.62
1000本/m2
肥料の追加なし

「実際に各エリアの成長ステージに合わせて肥料の量を調節したところ、2か月後には圃場全体の生育ムラが少なくなりました。

IMA BLO AGR Makubetsu 2022 3
2022年6月の第2回の撮影は、圃場の生育の度合いに大きな変化があった

「施肥後はムラが少なくなり、より圃場全体の生育状況が均一に近づいた。」

エリア
平均NDVI値
エリア 1
0.87
エリア 2
0.88
エリア 3
0.90

「栽培指導をするうえで現場の作物を確認することは不可欠です。一方で、テレビ電話を通して現地の作物の様子を見せてもらうことができれば、PIX4Dfieldsで解析マップを見ながら、リモートで栽培指導を行うこともできるのではないかと思います。」

PIX4Dfieldsの最新版であるPIX4Dfields 2.0では、PIX4Dfieldsのユーザーが圃場を探索するために使用する衛星画像を内蔵しているため、このデータにリモートでアクセスすることが可能です。

簡単に導入してすぐに使えるPIX4Dfields

今まで測量目的で他社のフォトグラメトリーソフトを使っていた六日市さんは、PIX4Dfieldsを初めて使ってみて、その手軽さに驚いたそうです。

“とにかく処理の速さに驚きました。オフラインでも作業できるので、ドローンで撮影してその場で処理まで行うことができます。スペックが低いPCでも使えるというのも重要なポイントです。" ノーザンイノベーション株式会社、六日市さん

「農業向けのフォトグラメトリーソフトを使ったことはなく、使い方を覚えるが大変そうだと思っていましたが、実際に使ってみると初心者にも分かりやすい表示画面で、初回からトラブルなく使用することができました。」

最後に、これからもPIX4Dfieldsやドローンを使ったスマート農業に取り組んでいきたいか聞いてみた。「今回のプロジェクトのように、ドローンで空撮した画像を基に栽培指導をするサービスはすごく需要が高いと思っています。実際に他の農家さんからも同じことをやってほしいという声をいただいています。今後も引き続きPIX4Dfieldsを使いながら知見をためていきたいと思っています。」

農業でのドローン活用方法
圃場での作業時間を短縮する秘密をご確認ください。

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