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再建の準備:地震で破壊された大聖堂の3Dマッピング

被災建物の測量には危険が伴う。ドローンマッピングによりスタッフの安全リスクを減らし、地域社会のコスト削減が可能に。
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2011年2月、ニュージーランドで2番目に人口の多い都市で地震が発生した。

街のシンボルであったクライストチャーチ大聖堂は倒壊し、今もなお清掃作業が続いている。

大聖堂の再建工事を開始および周辺危険区域の整備を行うには、徹底した測量が必要となる。クライストチャーチ地方自治体の測量技師で、地籍測量の有資格者であるJed Clement(ジェド・クレメント)氏は、Pix4Dmapperの力を借りて職務にあたった。

プロジェクト詳細

ロケーションニュージランド・クライストチャーチ
チームJed Clement
ハードウェアDJI P4 Pro v2
ソフトウェアPix4Dmapper 写真測量ソフトウェア
エリア0.062 km2
イメージ数584
処理時間2時間
GSD1.38cm
アウトプット3Dモデル、オルソモザイクドローンマップ
所要日数2日

The shakey isles(ニュージーランドの別名、震える島の意)

地元住民はカテドラル・スクエアを「街の中心部」、「クライストチャーチの鍵を握る場所」と説明した。文字通り、そして比喩的な意味でも「クライストチャーチの中心」と言える。穏やかなエイヴォン川が流れ、広大な公園が点在する自然豊かな田園都市として知られるクライストチャーチは、盛んな農業、南極大陸への入り口、そして近年では頻発する地震でも知られている。

クライストチャーチ地震の余波
ニュージーランドのプレート境界線に繋がる主要活断層帯はオーストラリアプレートとも関連している
左:マグニチュード3を超える本震と余震を示す地図とGeoNetで見るカンタベリーの断層破壊 右:アルパイン断層(画像提供Mikenorton - own work, CC BY-SA 3.0)

 ニュージーランドには断層線が走っており、地震が多発しているが、2011年に起きた地震ほど大きなものは数少ない。2012年8月までに、一帯ではマグニチュード2またはそれ以上の余震が11,000以上も発生した。余震は震源地から300km離れた場所でも観測された。

厳しい建築基準が多くの命を救ったと言える。科学者たちは大聖堂を襲った地震は世界中のどの都市でも破壊しただろうと予測する。木造フレーム構造であるニュージーランドの典型的な家の作りは比較的耐震性はあるが、耐震を考慮されていない建物や、クライストチャーチ大聖堂のような石造建築の建物が被害にあった。

2011年に起きた地震の前にも、大聖堂は1881年、1888年、1901年、1922年、そして2010年に地震の被害を受けている。

クライストチャーチ大聖堂 NZ-1888 地震による被害
1901年の地震で被害を受けたクライストチャーチ大聖堂
2012年に撮影されたクライストチャーチ大聖堂
左上から時計回り:1888年、1901年、2012年のクライストチャーチ大聖堂(画像提供:John Kirk-Anderson/Fairfax NZ)

最も大きな被害は2011年だった。最初の地震では、尖塔と塔の一部が破壊され、残りの建物も深刻な被害を受けた。余震によって大聖堂の西側の壁が破壊され、2012年には塔の残った部分も取り壊す必要が生じた。

地震後の復興再建

市と住民たちが大聖堂を再建すべきか否か議論を交わした際、仮設大聖堂として段ボールなどの地震に強い素材で作られた「紙の協会」の前に、多くの礼拝者たちが集った。

現在、大聖堂は再建され、カテドラル・スクエアとその周辺地域の開発が進められている。地震の被害により、この周辺へのアクセスは規制され、地域復興へ向けた開発を願う声が多数上がった。

再建をサポートするために、クライストチャーチ地方自治体チームはドローン飛行を実行。正確な空間計画を立てるため、地盤高に関するデータとカテドラル・スクエアの最新のオルソモザイクドローンマップを作成した。

危険を伴う地域でのドローンのメリット

カテドラル・スクエアのほとんどがオープンスペースだが、大聖堂などを含む一部の地域は地震のダメージによる危険が伴うため、アクセスが困難。この地域のデータ収集には写真測量法が最善策となった。

ドローンなら、操縦士の安全リスクもなくフェンスの中まで入り込むができる。また、Pix4Dのアルゴリズムなら危険な現場に足を踏みいれることなく、測量士たちが正確な寸法を測り、良質な3Dモデル作成に必要な最適画像を入手することができる。

アクセス不可能な地域もドローンを用いてマッピング

飛行チームはカテドラル・スクエアにて日曜の朝8時に作業を開始した。早朝はスクエア周辺の人や車も少ない。公共に対する迷惑も少なく行え、チームにとってメリットにもなった。車や人といった動くものはオルソモザイクでは透明に映し出される。オルソモザイクから「ゴースト(※人や車などが動くことによって画像に反映されるぼやけ)」を取り除き、画像の品質を向上させることは可能だが、早朝に作業を開始することで最初から「ゴースト」を避けることができた。

クライストチャーチ地方自治体の測量チームのドローン操縦ライセンスはまだ保留されており、現在は気球やカイトなどにも適用されるニュージーランドの「CAA Part 101操縦ルール」の規定に準拠している。航空マッピングは市の道路局とCathedral Trustによって承認された。

ドローン撮影で見る地震後のニュージーランド・クライストチャーチ
ドローン飛行は大聖堂の破損状態を記録した

チームの望み通り、曇り空であった。「表面が反射するのではと懸念していた。これは最終のアウトプットで詳細を失うことにつながる」とClement氏はコメントしている。「ドローン飛行の当日は、曇りで風もなく、望み通りの天気だった」

計4時間の飛行が完了。できる限り多くの情報を得るため、2つの斜線と2つの格子状の天底を撮った。

同氏に寄れば「あいにく接続状況が悪い飛行もあった」「そのためカテドラル・スクエアのオブリーク画像の多くを取得することができず、大聖堂と周辺の建物の詳細を撮影することができなった」

この結果にも関わらず、チームは

Pix4Dmapperの航空写真測量ソフトウェアを駆使し、3Dのドローンモデルを23時間以内に完成させた。

飛行前に8つの地上基準点(GCP)が設置され、精度の高さは5mmレベルです。処理中にはさらに12のチェックポイントが設けられたことにより、マッピングプロジェクトの地上画素寸法(GSD)の平均は1.38cm。

「良質な原地盤とレポーティング、そして使いやすさがPix4Dを選んだ理由です」とClement氏は語る。

クライストチャーチ大聖堂の3Dモデル
Pix4Dで見るカテドラル・スクエアとクライストチャーチ大聖堂の3Dモデル | Pix4D Cloudでこのモデルの詳細を見る

歴史のモデル化

モデルがあることで、カテドラル・スクエア南側の再建のデザイン工程に携わるチームに確証を与えた。

クライストチャーチ地方自治体によるカテドラル・スクエア復旧計画の一部
クライストチャーチ地方自治体によって考案されたカテドラル・スクエア復興計画

この再建は、カテドラル・スクエアの南エリアで進行中の商業開発と結びつき、2019年後期に一般公開予定。

復興支援団体Regenerate Christchurchは次のように述べている。「再開発は、この市を形づくった過去の出来事を受け入れながらも、”今”を反映させたものであり、カテドラル・スクエアに命を吹き込み、市の中心として再確立させる機会となります」

カテドラル・スクエアと破壊された大聖堂のモデルは有益なツールとしてだけでなく、歴史的出来事の記録でもある」

歴史的出来事をモデル化
危険なエリアの測量にも最適なPix4Dmapper

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