HEA BLO Indoor mapping

PIX4Dcatch を活用した屋内 3D スキャン

スマートフォンを利用した 3D スキャンは、広範囲の屋内空間では「ドリフト (位置ずれ)」という課題がつきものです。PIX4D では、オートタグの自動検出機能を活用してこの課題を克服しました。その全容をご紹介します。

スマートフォンで広範囲の屋内空間を歩きながらスキャンしてマッピングする際、位置や向きにずれが生じていき、それが時間とともに蓄積していきます。これは「ドリフト」と呼ばれる現象で、スマートフォンでの 3D マッピングを難しくする主要因です。ドリフトが蓄積すると、最終的に生成されるモデルの精度が落ち、表面が歪んだり二重になったりして、プロの現場での使用に耐えないデータとなってしまいます。そのため、モバイル デバイスで広範囲あるいは複雑な屋内環境をキャプチャしようとするユーザーにとっては、大きな制約となっていました。

PIX4D では、必要な精度を確保するために、GeoFusion アルゴリズム (英語) とオートタグを使用した iPhone/PIX4Dcatch ワークフローを検証しました。オートタグは、ドリフトを補正する手段として有効です。[タグ自動検出]機能が有効化されると、PIX4Dcatch はデータ取得中に自動でタグを認識するようになり (英語)、スキャン完了時にトラッキング情報と組み合わせることで、ドリフトを即座に補正します。データ取得後は、GeoFusion アルゴリズムが重要な役割を担い、取得したすべてのデータから各画像の正確な位置情報とカメラの角度を算出するため、極めて高精度な成果物を得ることができます。

この組み合わせにより、従来の方法が活用できなかった広範囲の空間であっても、リアルタイムで精度の高いデータを取得できるようになります。

この記事は Christoph Strecha、Martin Rehak、Davide Cucci らによる研究レポートに基づいています。

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PIX4Dcatch アプリを起動した iPhone。iPhone で取得した LiDAR データをカメラ映像に重ねて表示することで、取得データの完全性に関するフィードバックをリアルタイムで得ることができます。オートタグ (青枠で示した部分) はリアルタイムで検出されます。

PIX4Dcatch の GeoFusion アルゴリズム

1 つ目のプロジェクトでは、GeoFusion アルゴリズムの効果を確かめるために比較試験を行いました。この試験では、オートタグ (A4 サイズ/US レター サイズ の有無によるパフォーマンスの違いを測定しました。2 台の iPhone で PIX4Dcatch を起動し、屋内を周回しながら歩行しました。2 台とも設定は全く同じですが、1 台は[タグ検出]機能を有効にし、もう 1 台では無効にしました。タグ検出機能を無効にした iPhone は、アプリ内蔵の「ミニマリスティック モード」(ライブ ビデオ フィード、GNSS、コンパスなどのスマホ搭載センサーを活用する、いわゆる SLAM (Simultaneous Localization and Mapping) に類似した技術) を使用してデータ取得を行いました。

スキャン完了後、スマホのカメラがオートタグをどの程度の精度で捉えていたかを比較しました。精度の測定値である「再投影エラー」の値が低いほど、カメラ位置の精度が高いことを示します。

結果は歴然でした。タグ検出機能を有効にした iPhone は、無効にしていた iPhone の平均誤差が 41 ピクセルであったのに対し、平均誤差がわずか 7 ピクセルと非常に低い値を示しました。これはつまり、カメラ位置の追跡において GeoFusion を使用した方法がはるかに優れており、「ドリフト」の劇的な低減につながったことを意味します。この違いは、ドリフトが特に蓄積しやすい、計測の初期段階において顕著に現れました。

広範囲の空間を対象としたスキャン データの統合

複数のスキャン データを 1 つに統合する手法を用いて、2000 m2 におよぶオフィスビルのマッピングに成功しました。このような広大な空間に対しては、個別に複数回のスキャンを行い、後からそれらを統合することができます。オートタグを活用することで、統合したデータセット間で確実な位置合わせ (アラインメント) を行うことができました。

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PIX4Dmatic のスクリーンショット。5 つの異なるスキャン データにわたる 2000 m2 のオフィス空間の俯瞰図です。各画像において、オートタグは緑色の円でマーキングされ、iPhone の LiDAR 点群は画像データをもとに色付けされています。

屋内環境では GNSS 信号が遮断されるため、モバイル デバイスによる個々のスキャン データは、初期状態では互いに独立した独自の座標系 (英語) を持っています。これらを 1 つの高精度な成果物として統合するために、対象エリアにわたって固定のリファレンス ターゲット (オートタグ) を配置しました。これらの共通の参照ポイントがあることで、PIX4Dmatic は複数のプロジェクトを自動で位置合わせしてスティッチング (結合) し、個別に取得された 5 つのデータを 1 つの巨大な 3D モデルへと統合することができました。

結合されたプロジェクト全体の最終確認と最適化を行った結果、iPhone で撮影した約 5,000 枚の写真と LiDAR スキャン データを組み合わせることで、60 × 42m のオフィス空間の詳細な 3D デジタル再構築が完成しました。

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上記画像を統合したデータセットを示す PIX4Dmatic のスクリーンショット。オートタグは緑の丸で示され、5,000 個のカメラ位置は小さな丸い点で示されます。また、iPhone の LiDAR 点群は画像をもとに色付けされ、フォトグラメトリの高密度点群も確認できます。

屋内データと屋外データを丸ごと統合した 3D モデル

2 つ目のプロジェクトでは、一軒家のスキャンを行い、外観と各階のデータを統合しました。モデル全体は複数の PIX4Dcatch プロジェクトから構成されており、それぞれを個別に処理したうえで、PIX4Dmatic で統合しました。最終的な成果物は、家全体の単一の 3D モデルです。これにより、PIX4Dcatch と PIX4Dmatic を活用することで、複数階層にまたがる屋内および屋外データを高い精度で統合できることが証明されました。最終成果物の点群データをさまざまな角度から以下にご紹介します。

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PIX4Dmatic のスクリーンショット。それぞれ異なる PIX4Dcatch のスキャン データをもとに、オートタグを使用して統合された一軒家の点群データ。オートタグを活用することで、室内および室外環境の両方のモデリングが容易になります。

PIX4D 製品の屋内マッピング ワークフロー

PIX4D のワークフローは、誰でも簡単に利用できるように設計されています。

  1. オートタグの配置: まず、スキャン対象のエリアにオートタグを効果的に配置します。タグの正確な位置を事前に把握する必要はありません。
  2. エリアのスキャン: PIX4Dcatch を起動してエリア内を歩き回り、画像と LiDAR データを取得します。アプリはリアルタイムでオートタグを自動的に検出します。
  3. ソフトウェアによる自動処理: データ取得後、ただちにデバイス上で GeoFusion アルゴリズムが実行され、ドリフトが補正されてカメラ位置が最適化されます。
  4. スキャン データを統合 (大規模プロジェクトの場合): 非常に大規模なプロジェクトでは、複数のデータセットを結合して空間全体の完全な 3D モデルを作成できます。

屋内のデジタル ツイン作成: 高難度の環境でも使える低コストなワークフロー

これは、屋内空間の正確な 3D データを必要とするすべての人にとって、画期的なワークフローです。これまでは長い間、専門家は 「高精度だが高額な専用のレーザー スキャナー」か「迅速かつ安価だが精度が大きく不足する簡易なモバイル アプリ」の二者択一という妥協を強いられてきました。

PIX4D のソリューションは、すでにユーザーの手元にあるスマートフォンを活用し、プロフェッショナル級のツールを提供することで、この状況を一変させます。難易度の高い環境でも、高品質かつ実用的な 3D データを、素早く、かつ低コストで取得できるようになります。


PIX4Dcatch で高品質なデータ キャプチャ

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