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農研機構と福岡九州クボタ、100ha超の水田を空から「見える化」実証試験

近年、広範囲の農地をドローンでリモートセンシングすることが出来る技術の開発が必要となった。解析スピードを重視し、実証試験にはPix4Dfieldsを採用した。

「水稲の安定多収、高品質化のためには適切な追肥が必要です。しかし、経営の大規模化に伴いその判断が難しくなっており、空撮画像によるリモートセンシングがその解決策の一つとして期待されています」。農研機構九州沖縄農業研究センターの官森林博士はそう語る。

農研機構と株式会社福岡九州クボタは、ドローンを利用した水稲の広域リモートセンシング技術の開発に取り組んでおり、2019年7月には佐賀県にて100ha超の広域面積をドローンで空撮し、ノートパソコンを利用してその場で水稲の育成状況を「見える化」した。

プロジェクト詳細

場所佐賀県鳥栖市 
機関農研機構株式会社福岡九州クボタ
ハードウェアDJI M100 X5 &
MicaSense RedEdge-3 カメラ
ソフトウェアPix4Dfields 農業マッピングソフトウェア
画像マルチスペクトル画像 27,825枚
可視光画像 2,752枚
画像サイズ:1280×960
面積約 110 ha
プロジェクト工程空撮に約2時間
不要部分削除など、データの前準備を終えたあと
Pix4Dfieldsでの処理時間 約1時間40分
アウトプットRedEdge-3画像のオルソTIFFデータ
GSDX5: 2.9 cm
RedEdge: 7.8 cm
Pix4Dfieldsを使用した農研機構と福岡九州クボタによる実証試験
DJI M100 X5とMicaSense RedEdge-3マルチスペクトルカメラで圃場を撮影

日本のスマート農業に向けて

農研機構は約1800名の研究職員が在籍する、農業分野における日本最大の研究機関であり、全国各地に拠点を配置して研究活動を行っている。福岡九州クボタでは、株式会社クボタの販売会社として農業機械の販売を主体とし、福岡県、佐賀県、長崎県で事業を展開している。

農業の大規模化が進み、広範囲をドローンでリモートセンシング可能な技術の開発が必要となった背景を持ち、農研機構と福岡九州クボタ等はコンソーシアムを組み、リモートセンシングの研究を行っている。

技術開発の目的は、撮影の効率を上げて広い範囲をリモートセンシングし、短い時間で解析したデータを地域全体の栽培に活かすことだ。

圃場データの現場での解析にはPix4Dfields

2019年7月25日、午前10時。天候は曇り時々晴れ。 佐賀県鳥栖市の圃場において、100haを超える水田をドローンで空撮し、ノートパソコンを利用してその場で水稲の育成状況を「見える化」する実証試験が公開で行われた

画像解析による圃場の「見える化」(数値化)には、ドローンに搭載する高性能な可視光カメラ、そして生育状況の把握には高精度なマルチスペクトルカメラが必要となる。

ドローン空撮で取得した可視光やマルチスペクトル画像を解析するソフトウェアには、Pix4Dfieldsを採用した。短時間で処理が出来、撮影の面積によってはその場で2次元の植生指数マップ(NDVI他)を提示できることが決め手となった。

Index map created in Pix4Dfields
Pix4Dfields 1.6を使用して作成した2Dオルソモザイク画像 | このNDVIマップをPix4D クラウドで見る

Pix4Dfieldsの利点:従来よりもPCの負担が軽減、解析スピードが向上

「当初は、3次元解析で精度を上げて多様な機能が使えるPix4Dmapperを使用していたが、解析に時間がかかることと、データが多い場合にはスペックの低いPCではクラッシュして解析ができなかった。Pix4Dfieldsは、従来よりもPCの負荷が軽減され解析スピードがとても向上したことから、今春から導入し検証を重ねている」と福岡九州クボタの農業振興部長の末次裕昭氏は語る。

これからの技術的改善にも期待

2019年7月の実証試験では、Pix4Dfields 1.4を使用した。その後、Pix4Dfieldsは高頻度のバージョンリリースを重ね、2019年8月には1.5、10月には1.5.1、そして11月末に最新の1.6をリリースしている。

2Dマッピングの高速性を重視し、今まではデータの容量や枚数が多いと出力制限がかかり、オルソモザイクの解像度が落ちるという、大量のデータを処理するユーザーにとっては重大な課題があったが、Pix4Dfields 1.6では、ユーザーが地上解像度(GSD)またはオルソモザイクの最大ファイルサイズを指定することが出来るようになった

農研機構および福岡九州クボタはPix4Dfields 1.6での解析も既に行っており、処理時間に大幅な変化はないと言う。これからもPix4Dfieldsの継続的な改善に期待してほしい。

【謝辞】

本記事を作成するにあたり、ご協力頂きました農研機構および福岡九州クボの関係者の皆様に御礼申し上げます。また、本件にPix4Dfieldsが解析ソフトウェアとして採用され、農研機構と福岡九州クボタのユーザー視点からの製品フィードバックがPix4Dチームへ届いていることは、Pix4Dのプレミアムパートナーである株式会社サイバネテックの充実したサービスおよび手厚いサポートから実現しました。この場を借りて、感謝いたします。

Pix4Dfieldsの詳細
デジタル農業における空撮画像解析

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